Day 1: Kiroの世界へようこそ
今日学ぶこと
- Kiroとは何か、なぜ今注目されているのか
- 従来のAIコーディングツールとの違い
- Kiroのインストールと初期設定
- 最初のプロジェクトの開始
AIコーディングツールの進化
2023年以降、AIコーディングツールは急速に進化してきました。GitHub Copilot、Cursor、Claude Codeなど、多くのツールが登場し、開発者の生産性を大きく向上させています。
しかし、これらのツールには共通の課題がありました。
「Vibe Coding」の問題
flowchart LR
subgraph Traditional["従来のAIコーディング"]
A["アイデア"] --> B["プロンプト"]
B --> C["コード生成"]
C --> D{"動く?"}
D -->|No| B
D -->|Yes| E["次の機能"]
E --> B
end
style Traditional fill:#f59e0b,color:#fff
従来のAIコーディングでは、開発者はプロンプトを何度も調整し、生成されたコードが動くまで試行錯誤を繰り返します。これは「Vibe Coding」(雰囲気でコーディング)と呼ばれ、以下の問題を引き起こします:
| 問題 | 影響 |
|---|---|
| 要件の曖昧さ | 何を作りたいのか明確でないまま開発が進む |
| ドキュメントの欠如 | 後から見返しても何をしたか分からない |
| テストの不足 | 要件が不明確なのでテストも書けない |
| 技術的負債 | 場当たり的なコードが積み重なる |
Kiroとは
Kiroは、2025年7月にAWSが発表したエージェント型IDEです。VS Codeと同じCode OSSをベースにしており、VS Codeユーザーなら違和感なく使い始められます。
flowchart TB
subgraph Kiro["Kiroの開発フロー"]
direction TB
A["アイデア"]
subgraph Specs["Spec駆動開発"]
B["Requirements\n要件定義"]
C["Design\n設計"]
D["Tasks\nタスク分解"]
end
E["実装"]
F["完成"]
end
A --> B
B --> C
C --> D
D --> E
E --> F
style Kiro fill:#3b82f6,color:#fff
style Specs fill:#8b5cf6,color:#fff
Kiroの特徴
Kiroが他のAIコーディングツールと異なる点は、Spec駆動開発(Spec-Driven Development) というアプローチです。
| 特徴 | 説明 |
|---|---|
| Spec駆動開発 | コードを書く前に要件・設計・タスクを明確化 |
| エージェント型 | AIがファイル操作やコマンド実行を自律的に行う |
| Steering | プロジェクトのルールや規約をAIに教える |
| Hooks | ファイル変更などのイベントで自動処理を実行 |
| MCP連携 | 外部ツールやデータソースとの統合 |
| Powers | 専門知識をワンクリックで追加 |
なぜKiroを使うのか
flowchart LR
subgraph Benefits["Kiroのメリット"]
B1["要件の明確化"]
B2["設計の可視化"]
B3["進捗の追跡"]
B4["品質の向上"]
end
B1 --> B2
B2 --> B3
B3 --> B4
style Benefits fill:#22c55e,color:#fff
- 要件の明確化: 曖昧なアイデアを構造化された要件に変換
- 設計の可視化: アーキテクチャやデータフローを文書化
- 進捗の追跡: タスクの完了状況をリアルタイムで確認
- 品質の向上: 要件からテストまでのトレーサビリティ
Kiroのインストール
動作環境
Kiroは以下の環境で動作します:
- macOS: Apple Silicon (M1以降) / Intel
- Windows: Windows 10以降
- Linux: 主要なディストリビューション
インストール手順
-
ダウンロード: kiro.dev にアクセスし、お使いのOSに対応したインストーラーをダウンロード
-
インストール: ダウンロードしたファイルを開き、画面の指示に従ってインストール
-
起動: Kiro IDEを起動
初期設定
Kiroを初めて起動すると、いくつかの設定画面が表示されます。
flowchart TB
A["Kiro起動"] --> B["認証"]
B --> C["VS Code設定の\nインポート"]
C --> D["テーマ選択"]
D --> E["シェル統合"]
E --> F["プロジェクトを開く"]
style A fill:#3b82f6,color:#fff
style F fill:#22c55e,color:#fff
1. 認証
ソーシャルログイン(Google、GitHubなど)またはAWS認証でログインします。AWSアカウントは必須ではありません。
2. VS Code設定のインポート(オプション)
既存のVS Codeユーザーは、設定や拡張機能をインポートできます。これにより、キーバインドやテーマなどの設定を引き継げます。
3. テーマ選択
ダークテーマまたはライトテーマを選択します。
4. シェル統合
Kiroがターミナルコマンドを実行できるように、シェル統合を許可します。これにより、AIがビルドやテストの実行、ファイル操作などを行えるようになります。
最初のプロジェクト
Kiroのセットアップが完了したら、最初のプロジェクトを開いてみましょう。
プロジェクトを開く
3つの方法でプロジェクトを開けます:
- メニューから: File > Open Folder でプロジェクトフォルダを選択
- ドラッグ&ドロップ: プロジェクトフォルダをKiroにドラッグ
- コマンドラインから:
kiro .を実行
Kiroパネルを開く
アクティビティバー(左端のアイコン列)にあるKiroゴーストアイコンをクリックすると、Kiroパネルが開きます。
┌─────────────────────────────────────────────┐
│ [Ghost Icon] Kiro │
├─────────────────────────────────────────────┤
│ │
│ 💬 Chat │
│ 📋 Specs │
│ 🔧 Hooks │
│ 🔌 MCP │
│ │
└─────────────────────────────────────────────┘
Steeringドキュメントの生成
Kiroの最も重要な最初のステップは、Steeringドキュメントの生成です。
Kiroパネルから「Generate Steering Docs」を選択すると、Kiroがプロジェクトを分析し、以下の3つのファイルを .kiro/steering/ フォルダに生成します:
| ファイル | 内容 |
|---|---|
| product.md | プロダクトの目的、ユーザー、機能 |
| tech.md | 使用技術、フレームワーク、ライブラリ |
| structure.md | ディレクトリ構造、命名規則、アーキテクチャ |
flowchart LR
A["プロジェクト\nフォルダ"] --> B["Kiroによる\n分析"]
B --> C["product.md"]
B --> D["tech.md"]
B --> E["structure.md"]
subgraph Steering[".kiro/steering/"]
C
D
E
end
style A fill:#3b82f6,color:#fff
style Steering fill:#8b5cf6,color:#fff
これらのファイルがあることで、Kiroはあなたのプロジェクトの文脈を理解し、より適切な提案やコード生成を行えるようになります。
Kiroの画面構成
Kiroの画面はVS Codeとほぼ同じですが、いくつかの追加機能があります。
┌─────────────────────────────────────────────────────────────────┐
│ Menu Bar │
├────┬────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ │ │
│ A │ │
│ c │ Editor Area │
│ t │ │
│ i │ │
│ v ├────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ i │ │
│ t │ Panel (Terminal, Output, etc.) │
│ y │ │
│ │ │
│ B ├────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ a │ Kiro Chat Panel │
│ r │ │
│ │ │
└────┴────────────────────────────────────────────────────────────┘
主要な要素
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| Activity Bar | 左端のアイコン列。Kiroゴーストアイコンがここにある |
| Editor Area | コードを編集するメインエリア |
| Panel | ターミナル、出力、問題などを表示 |
| Kiro Chat Panel | AIとの対話、Specs、Hooks、MCPの管理 |
料金プラン
Kiroは2025年10月にパブリックプレビューを終了し、有料プランに移行しました。
| プラン | 月額 | エージェント操作 |
|---|---|---|
| Free | $0 | 50回/月 |
| Pro | $19 | 1,000回/月 |
| Pro+ | $39 | 3,000回/月 |
注意: 料金プランは変更される可能性があります。最新情報は kiro.dev で確認してください。
まとめ
| 概念 | 説明 |
|---|---|
| Kiro | AWSが提供するエージェント型IDE |
| Spec駆動開発 | 要件→設計→タスクの順序で開発を進める手法 |
| Steering | プロジェクトの情報をAIに伝えるドキュメント |
| Code OSS | VS Codeと同じ基盤なので移行しやすい |
重要ポイント
- Kiroは「考えてから作る」を支援するツール
- VS Codeからの移行はスムーズ
- Steeringドキュメントがプロジェクト理解の基盤
- 無料プランで試せる
練習問題
問題1: 基本
Kiroをインストールし、既存のプロジェクト(または新規フォルダ)を開いてください。Steeringドキュメントを生成し、3つのファイル(product.md、tech.md、structure.md)の内容を確認してください。
問題2: 応用
生成されたSteeringドキュメントを確認し、プロジェクトの説明が正確かどうか確認してください。不正確な部分があれば、手動で修正してみてください。
チャレンジ問題
VS CodeからKiroに移行する場合、どのような設定や拡張機能が引き継がれるか調べてください。また、Kiro固有の機能(Specs、Hooks、MCP)について、それぞれどのような場面で役立ちそうか考えてみてください。
参考リンク
次回予告: Day 2では「ステアリングファイル」について詳しく学びます。プロジェクトのルールや規約をKiroに教える方法を理解しましょう。