Devin入門 - 世界初のAIソフトウェアエンジニアとは

Shunku

自然言語で指示を出すだけで、コードを書き、テストし、プルリクエストまで作成してくれるAIエンジニアがいたら?これがDevinです。Cognition AIが開発した「世界初の自律型AIソフトウェアエンジニア」として、ソフトウェア開発の世界に新しいパラダイムをもたらしています。

Devinとは何か

Devinは、コード補完ツールではなく、自律的にソフトウェア開発タスクを遂行するAIエージェントです。従来のAIコーディングツールが「アシスタント」なら、Devinは「ジュニアエンジニア」のような存在です。

flowchart LR
    subgraph 従来のツール
        A[開発者] --> B[Copilot]
        B --> C[コード補完]
    end

    subgraph Devin
        D[開発者] --> E[タスク指示]
        E --> F[Devin]
        F --> G[計画]
        G --> H[実装]
        H --> I[テスト]
        I --> J[PR作成]
    end

    style A fill:#3b82f6,color:#fff
    style D fill:#3b82f6,color:#fff
    style F fill:#8b5cf6,color:#fff

Devinの特徴

Devinは、サンドボックス化されたコンピューティング環境で動作します。この環境には以下が含まれます:

  • シェル: コマンド実行
  • コードエディタ: ファイル編集
  • ブラウザ: ドキュメント参照、エラー調査

これにより、人間のエンジニアと同じように、コードを書き、実行し、エラーを確認し、修正するというサイクルを自律的に回すことができます。

Copilotとの根本的な違い

GitHub CopilotとDevinは、どちらもAIを活用した開発ツールですが、その役割は根本的に異なります。

flowchart TD
    subgraph Copilot["GitHub Copilot(アシスタント)"]
        A1[リアルタイムコード補完]
        A2[IDE内で動作]
        A3[開発者が制御]
        A4[行単位の提案]
    end

    subgraph Devin["Devin(エージェント)"]
        B1[自律的なタスク実行]
        B2[独自の環境で動作]
        B3[自己判断で行動]
        B4[プロジェクト全体を扱う]
    end

    style Copilot fill:#3b82f6,color:#fff
    style Devin fill:#8b5cf6,color:#fff

比較表

観点 GitHub Copilot Devin
役割 コーディングアシスタント 自律型エンジニア
動作環境 IDE内 独自のクラウド環境
入力 コードコンテキスト 自然言語のタスク説明
出力 コード補完・提案 PR、コミット、デプロイ
制御 開発者が常に制御 自律的に判断・実行
最適な用途 日常的なコーディング加速 定型タスクの委任

実際の動作の違い

Copilotの場合:

開発者: [コードを書き始める]
Copilot: [次の行を提案]
開発者: [提案を受け入れるか修正]
開発者: [テストを実行]
開発者: [エラーを修正]

Devinの場合:

開発者: ユーザー認証機能を実装して。JWTを使って、
       リフレッシュトークンも対応してください。

Devin: [コードベースを分析]
       [実装計画を作成]
       [コードを実装]
       [テストを実行]
       [エラーを自動修正]
       [PRを作成]

開発者: [PRをレビュー・マージ]

Devinの主要機能

1. Agent-Native IDE

Devinは専用のクラウドベースIDEで動作します。複数のDevinセッションを並列で実行でき、それぞれが独立したタスクに取り組めます。

flowchart TD
    A[開発チーム] --> B[Devin プラットフォーム]
    B --> C[セッション1: バグ修正]
    B --> D[セッション2: テスト作成]
    B --> E[セッション3: リファクタリング]

    C --> F[PR #101]
    D --> G[PR #102]
    E --> H[PR #103]

    style B fill:#8b5cf6,color:#fff
    style C fill:#3b82f6,color:#fff
    style D fill:#3b82f6,color:#fff
    style E fill:#3b82f6,color:#fff

2. Interactive Planning

タスクを開始すると、Devinはまずコードベースを分析し、実装計画を提案します。開発者はこの計画をレビュー・修正してから、実行を開始できます。

Devin: コードベースを分析しました。以下の計画で進めます:

1. src/auth/jwt.ts にJWTユーティリティを作成
2. src/middleware/auth.ts に認証ミドルウェアを追加
3. src/routes/auth.ts にログイン/リフレッシュエンドポイントを実装
4. tests/auth.test.ts にテストを追加

この計画で進めてよいですか?

3. Devin Wiki

リポジトリを自動的にインデックスし、アーキテクチャ図やドキュメントを生成します。新しいチームメンバーのオンボーディングや、レガシーコードの理解に役立ちます。

4. Devin Search

コードベースに対して自然言語で質問できます:

質問: 認証エラーはどこでハンドリングされている?

回答: 認証エラーは以下の場所でハンドリングされています:
- src/middleware/errorHandler.ts:45 - AuthenticationError クラス
- src/routes/auth.ts:78 - ログイン失敗時の処理
[ソースコードへのリンク]

5. チーム連携

Slack、Microsoft Teams、Jiraとの統合が可能です:

  • Slack: @Devin でメンションしてタスクを依頼
  • Jira: チケットに devin ラベルを追加すると自動で対応開始
  • GitHub: PRへのコメントで追加修正を依頼

料金プラン

Devin 2.0(2025年4月リリース)で、価格が大幅に引き下げられました。

プラン 月額 ACU 追加ACU 対象
Core $20 9 $2.25/ACU 個人開発者、試用
Team $500 250 $2/ACU チーム、本格利用
Enterprise カスタム カスタム 要相談 大企業、VPC対応

ACU(Agent Compute Unit)とは

ACUはDevinの作業量を測る単位です。タスクの複雑さや実行時間によって消費量が変わります。

flowchart LR
    A[簡単なタスク] --> B["1-2 ACU"]
    C[中程度のタスク] --> D["3-5 ACU"]
    E[複雑なタスク] --> F["10+ ACU"]

    style A fill:#22c55e,color:#fff
    style C fill:#f59e0b,color:#fff
    style E fill:#ef4444,color:#fff

どのプランを選ぶべきか

シナリオ 推奨プラン
Devinを試したい Core
週に数回、小さなタスクを依頼 Core
日常的にタスクを委任 Team
複数人でDevinを共有 Team
セキュリティ・コンプライアンス要件あり Enterprise

Devinが得意なこと・苦手なこと

得意なタスク

  • コードマイグレーション: フレームワークやライブラリのアップグレード
  • セキュリティ修正: 脆弱性の検出と修正
  • 単体テスト作成: テストカバレッジの向上
  • 小規模な機能追加: 明確な仕様のある機能
  • バグ修正: 再現手順が明確なバグ

苦手なタスク

  • 曖昧な要件: 「もっと使いやすくして」など
  • アーキテクチャ設計: システム全体の設計判断
  • パフォーマンス最適化: 深い分析が必要な場合
  • 創造的なUI/UX: デザインの判断が必要な場合

まとめ

観点 説明
Devinとは 自律型AIソフトウェアエンジニア
Copilotとの違い アシスタント vs エージェント
主要機能 自律実行、計画、Wiki、Search
価格 $20/月から
最適な用途 定型タスク、マイグレーション、テスト

Devinは「ジュニアエンジニア」として考えるのが最適です。明確な指示があれば優秀に働きますが、曖昧なタスクや高度な判断が必要な場面では人間の監督が必要です。次回は、Devinのベンチマーク性能と実際の成功率について詳しく見ていきます。

参考資料